320余年の歴史を
現在進行中の私たちの中で整理していく。
―――みなさんの取り組みについて教えてください
新しい試みとして社史勉強会を開いています。にんべんには、いくつかの古文書が残っていて、大学の先生方のお力を借りて翻刻作業が進んでいます。その翻刻作業の一部をまとめた書籍が「江戸日本橋商人の記録」です。この本を手に取ったときに改めて会社の歴史や歴代当主の考え方に触れ、広報として今一度、社員やお客様に伝えていきたいと感じました。伝えていくためには自分たちの言葉で話せなくてはならないので、創業当時の事実を地図や社会背景など様々な観点から理解するためにも勉強会に臨んでいます。忘れかけている日本史の勉強からになるので、時々、頭が痛くなります(笑)。ただ、320余年の歴史を、現代のわたしたち目線で整理していくことは意義深いですね。
もうひとつは、SNSを活用したコミュニケーションも模索しています。これまでは商品やレシピの紹介がメインでしたが、にんべんをより身近に感じてもらえるように社員やその業務内容や、鰹節やだしに関する豆知識などを配信しています。
未来に伝承していくという
重要な使命
―――どんな想いで取り組んでおられるのでしょうか?
新しい商品の情報をお届けすることももちろんですが、にんべんのこれまでとこれからの歩みを、かつお節やだしの文化と業界の活性化に役立てて頂ければと思っています。そのために正しく情報を伝える、時代に沿った言葉で伝承していくという重要な使命を持っていると考えます。フレッシュパックの技術の公表もその一つの例です。経営理念に立ち返ると業界が低迷してきている中で、かつお節業界の一員として何ができるかという視点を常に持ち続けてきました。その視点は私たち社員の立場でも失わないよう日々努めていきます!
三方よしに通ずる経営理念によって、社会と共に文化を育んできたにんべん。今回取材させていただいた経営企画部広報宣伝グループの皆さんは、その歴史からつながって続いている、今進行中の時間の中で、過去にも未来にも取り組まれているのが、とても印象的でした。三方よしの考え方「売り手よし、買い手よし、世間によし」は、社会のニーズをいち早く取り込み解決策を出すことで、変革のドライバーにもなり、その変革が時を重ねることで文化になる。それを正しく未来に伝えていく広報宣伝グループの取り組みもまた、業界と社会の活性化につながっていく。これも三方よしに通じているのだと思いました。にんべんの“らしい”ストーリーは今回で終わりですが、またの機会に引き続き取材をさせていただけたらと思っています。最後までお読みいただきありがとうございました。