味のインフラ
―――「味のインフラ」という言葉が印象的です。
インフラという言葉には2つの想いが込められています。1つ目にかつお節は、日本料理の中で欠かせないだし素材の1つであること。日本の食文化の基礎として鰹節を大切にしている想い。2つ目はその基礎から発展していく、鰹節の可能性を拡げていきたいという想い。鰹節の需要は昔に比べて下がっています。しかし、かつお節よりも、「だし」という提案のほうが今のお客様にはなじむかもしれない。もしかしたら和食という範疇を越えてもいいのかもしれません。にんべんとしてもかつお節・だしという基礎を土台に、和食というジャンルをも超えていろんな可能性を探っていこうと社として考えています。そこで今、新たな挑戦をしているのが、俳優の速水もこみちさんと共同開発している「だしとスパイスの魔法」という商品です。スパイスとだし、洋と和を組み合わせて新しい料理の提案をしてみようというものです。また、「日本橋だし場」で提供しているメニューも和食だけでなく、だしをベースに洋風にアレンジしたメニューも展開しています。
だしがお客様にとって
どんな存在であるといいのか
―――和食文化の変化は無形文化遺産に認定された一方で気になるところです
だしの可能性についてお話ししましたが、そのように「だし」は変幻自在であっていいと思っています。だし=和食のイメージをお持ちの方が多いですが、いつの日か、どんな料理でも「だし」がベースになれると気づいてもらえたら嬉しいです。私たちがお客様にとってどんな存在であるといいのか。だしがお客様にとってどんな存在であるといいのか。いつもすべてはそこにあるのかなと思います。
―――グローバルな展開もあるのでしょうか?
海外での売り上げはまだ大きくはないですが、ここ数年でのびています。広報としては、海外の方に向け日本のだしについて理解をつくっていこうという状況です。例えば海外から日本へ食の勉強にいらっしゃったシェフの方にかつお節教室を開いたりというような、草の根的な活動を通して、徐々にだしの本当のおいしさをわかってもらえたらと思っています。
だしはお客様にとってどんな存在なのか?(パーパス)シンプルに考えてみると、だしは料理のおいしさを支える「味のインフラ」であり、だしと様々な食材を合わせることで様々な食の展開ができる。だしは和食の範疇を超えて、その可能性は大きい。と、そんなお話から、これが320年以上続くブランドの重要な視点を学びました。そんな中、経営企画部広報宣伝グループの皆さんはどんな想いでどんな取り組みをされているのか、引き続きお話を聞いていきます。