成果がわかる
フードロスアクションで
貢献意欲を高めたい
―――サルベージ・パーティなどの今後の展望についてお話いただけますか。
平井氏:そうですね。サルベージ・パーティとフードロスの学校についてもいれていいですか。どちらも、さっきの繰り返しになりますが、フードロスを自分なりにアクションを起こしたいっていう人に対してのヒントを見つけてもらう場だと思っていて、ちゃんと勉強したい人は学校の方に、料理を通してという人はサルベージパーティの方にといった感じにしていて、今以上に活性化していきたいと思っています。ただなかなか難しいですが、これからはもっと成果を出すステップに来ているかなと思っています。もちろん考えることも大事なのですが、じゃあ具体的にこれだけフードロスが減ったっていうものも必要だなと思っています。まずは自分の家庭でできることとか、身の周りでできることから成果を出していってほしいと思っていて。そうしたら「私、社会に貢献してるかも」といった感じで、みんながもっと貢献感が持てると思うので。次はそういうステップに取り組みたいと思っています。
例えば「これだけ捨てていいよ」って言いたいんです。絶対にゼロにすることはできないので。適当に数字は言いますけど「1日100グラムだったら1人当たり捨てても大丈夫ですよ」と言われたほうが、僕はなんか過ごしやすいというか…。じゃあ、今日は100グラム切ってやろうって目標もできますし。そういうほうがいいと思うんですよ。いまだとすごくざっくりした「減らそう」なので。何したらいいかわかりにくいですしね。そうすると、エアコンの温度設定みたいな感じで、わかりやすいアクションにつながる気がしています。どれだけ努力すればいいのか。その根拠ってどこにあるのか。今、フードロスの学校を中心にいろんな先生の話を聞いて、みんなで考えているところです。
フードロスを世界の問題を
考えるきっかけに
―――平井さんご自身の展望はいかがですか。
平井氏:先ほどの話を成功させたいっていうのもありますし。あとはフードロスだけでなくて、食糧問題って捉えた時に、飢餓の問題とか、食の不均衡とか、SDGsいろいろあるんですけども、やっぱりつながっているんですよね。その辺の知識を僕自身がつけて、世の中に伝えていきたいというのはあります。あと食品ロスがよく言われるのが、SDGsの中でも生活者に近いゴールなので、入り口になりやすいとよく言われます。いきなりエネルギー問題とか、海の問題とかですと、なかなか自分ごとにならないですけれども、食品ロスは少し他の問題に比べると身近じゃないかと。そこを入り口にジェンダー問題を考えるとか、そういう可能性があると思っていて、そこは追求していきたいです。
―――いろいろな興味深いお話を聞かせていただき、楽しかったです。ありがとうございました。
“「食材の買い方」と「料理の意識」を変える”をミッションに、様々な活動をしているフードサルベージ代表の平井巧氏。その活動の背景には、“答え”を渡すのではなく、一人ひとりが自分なりの考えを持つための“問題提起”になるというパーパス(存在意義)がありました。またフードロスの捉え方を、世の中と生活者をつなげることができる最も身近な社会課題の一つと考えることで、フードロスに対する取り組み自体の可能性をさらに広げようとしていました。フードサルベージ平井氏の取り組みに、一つの社会課題解決をゴールにせず、様々な社会課題をつなぐハブとして捉える視点を学ぶことができました。いろんな問題について、ニュースを鵜呑みにせず、自前の考えをみんなが持つように働きかける。それが社会をよくすることにつながる。その一貫した信念ともいえる姿勢がとても印象的でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
編集後記
「フードロスの学校」は、
「foodskole(フードスコーレ)」にブランドリニューアル。
記事内でご紹介させていただいた「フードロスの学校」は、2020年4月1日に「foodskole(フードスコーレ)」としてブランドがリニューアルされています。フードサルベージ平井氏に、ブランドリニューアルの背景とコロナ禍において新しい取り組みをスタートさせたことについて追加取材を行いました。最後に編集後記として触れたいと思います。
「foodskole(フードスコーレ)」のスコーレは、スクールの語源となるギリシャ語。誰もが「食」と向き合い、教養を身につける場にしたいという想いを込めた名前、とのこと。“フードロス”がテーマのメインではなく、環境問題や食文化、料理、経済といったテーマと食を紐づける、より幅広いテーマから食についての教養を身につけることを目的にされているというお話でした。さらに話を聞いて、インプットにプラスしてアウトプットへの意識が強くなっている印象を受けました。それは「自前の考えを持つ」という部分は大切にしながら、それを言葉にして表現し、学び続ける姿勢で、新たな食の在り方をリデザインする、というところまでをゴールにしているところ。「フードロスの学校」の延長線上にありながら、新たな違いを感じました。
また平井氏は、コロナ禍において「foodskole(フードスコーレ)」をスタートさせた想いについて「食の活動をしている人が、今起きていること、そこから感じることを書き溜めていくことによって、改めて見返した時に私たちの食の向き合い方の新たなヒントになる。」と話してくれました。その想いに、平井氏がこの状況下で「foodskole(フードスコーレ)」を進めていく姿勢が発信されていくこと自体に意義があると感じました。
「foodskole(フードスコーレ)」の活動は、noteやyoutubeでのライブ配信等ですでに積極的に情報発信を行っています。「食」に向き合うだけでなく、きっとこれからの「時代」に向き合う姿勢も学べると思います。是非下記アドレスにアクセスしていただければと思います。