なごみ・いやし・はげまし・ふれあい
―――企業理念が印象的です。そこにかける想いを教えていただけますでしょうか?
創業してからずっと変えていないのが、「なごみ、いやし、はげまし」の三つです。「ふれあい」というのは10年前ぐらいに決めて、今では4つのキーワードとなりました。この中でも私たちが一番大切にしているのが「なごみ」です。私たちの商品は、しろたんなどいろいろありますけども、どの商品を見ても、全国のどのお店も見ても、そこにいるスタッフを見ても、やっぱり「なごみ」が感じられるようにやりたいという、そんな夢と願いが込められています。逆に言えば「なごみ」でない商品は売っていないつもりです。私たちは、アイテムの制限はなく、いろいろなものを自社で作れるのですが、「なごみ」のカテゴリーから外れるようなものは、今までも企画してきていませんし、たとえ、いくら売れたとしてもやりたくない。なので、商品企画、あるいはお店をつくる、あるいは一緒に働く仲間を選ぶ際に、「なごみ」に当てはまるかどうかっていうことは必ず吟味をして進めていきます。
全国にショッピングセンターを中心に出店していますが、カテゴリーとしてはファンシー雑貨とかバラエティー雑貨、キャラクター雑貨っていうくくりになってしまいます。でも、私たちの商品は、そうではなくて、「なごみ雑貨」。ここはあえて店内案内板にはカテゴリー「なごみ雑貨」でお願いしてます。「なごみ雑貨」を手にすることで癒やされたり、励まされたり、心が温かくなったり、ちょっとふっと笑ってしまうような―。理念に、なごみ、いやし、はげまし、ふれあいとありますが、すべて、なごみに集約されるのかもしれません。
美しい信州
―――信州へのこだわりも教えてください。
クリエイティブヨーコという会社が創業される前に、創業者の伊藤洋子、俊二夫妻が長野県の北のほうにあります斑尾高原でペンションを開業しました。創業者の伊藤洋子は学生当時ワンダーフォーゲル部に入っていまして、とても山や自然が好きだった。「美しい信州」という言葉が好きで、一生ささげるべきだという思いで事業を展開したというのがスタートです。今、本社は長野市内ですが、それでも自然の多い所ですし、子育てにも環境としてはとても良いです。保育園の心配もありません。女性社員が出産して100パーセント復帰します。通勤も非常に楽です。大体みんな15分以内で車、自転車、徒歩で通っています。若い社員でも家を建てやすい。本当に暮らしやすい。私たちが作ってるものは、ほぼ自然をモチーフにした商品、動物だったりしますので、私たちの事業にもいい影響があります。
エッセンシャルではないけれども
彩を与えるフレイバーになるもの
―――コロナ禍によって不安が増大すると、これまでの価値観が変わる気がします。
信州が豊かに見えるし、なごみが欲しくなります。
創業者洋子さんが十数年前にインタビューで答えていた内容ですが、社会不安が増大する、同時多発テロから始まってリーマンショック、それから東日本大震災、今のコロナに至るまで、不安が増大する中で、家庭とか家族といった身近な存在に、なごみ、いやしを求める傾向がますます強くなるでしょう。キャラクターのしろたん、それから私たちのヒット商品、木製のおままごと、そしてペット商品というのは、こういった身近な存在になごみ、いやしを求めるというニーズに応えていると考えてます。極論言うと、私たちの商品は決して生活必需品ではない。これがないと生活できないというものではないのですが、ないと寂しい。あると心が豊かになり、癒やされる。そういうエッセンシャルではないけれども、彩りを与えるフレイバーになるものであると捉えています。男性女性にかかわらず、子どもから大人までというところで、特にターゲット層というものはなく、誰にでも受け入れられる商品。そして値段も安い。そこはとても意識しています。
コロナ禍で私たちが考えさせられたのは、「不要不急」や「エッセンシャル」のキーワードだと思います。なにが不要不急で、なにがエッセンシャルなのか?厳しい自粛生活の中で、逆に、一見不要不急と思われることに、人間らしい余白があったり潤いがあり、人間だからこそ、実はそこが一番エッセンシャルだったりするのかもしれない。クリエイティブヨーコの「エッセンシャルじゃないけどフレイバーにはなる」の捉え方に、パーパスの可能性が広がった気がします。さらに「なごみ」をキーワードに事業を展開していくクリエイティブヨーコの強み・ビジネスモデルを聞いていきます。