Rashii

Meanings of Social Design in the Next Era 4Dカンファレンス2019オープニングイベント報告

ボランティアの人から抗議があった。
でもビジネスにしたかった。持続させるために。
芦沢 啓治氏 石巻工房代表

2011年3月11日東日本大震災。芦沢さんは、建築を手掛けられたレストランが壊滅していることを知り、何か修理できるのではないか、前向きな話ができるのではないかと一縷の望みをかけて、現地に行きました。残っていた2Fに集まってここをどうやって復興していくのか話し合いが進んでいき、DIYに活路を見いだそうと。高校生や町の人を呼んで、町のために何か作ろうと生まれたのが、石巻工房を代表するベンチ。このベンチは町のあちこちに置かれ、コミュニティの起点となりました。仮設住宅のステップ。屋外映画館もできました。その輪はどんどん広がっていきました。

(映像)石巻工房の歩み
History of ISHINOMAKI LABORATORY

ハーマンミラーからのオファーもあり、その活動はどんどん拡大しました。石巻工房のモノとストーリーは国際的に認められ、今や石巻発グローバルへ展開しています。ボランティアからビジネスへ。良いことをしていることでお金を稼ぐ、「お金儲けを考える」ことへの抵抗があったのでしょうか、その時ボランティアの方から抗議もあったようです。しかしこの活動を維持するには運営資金は必要で、持続させるためにビジネスにしたかったと芦沢さんは語ります。

木材という素材は「そんなにいじらなくていい」と芦沢さんは言います。1枚の板でも、用途は多い。そんなミニマルでシンプルな発想で生まれた家具だからこそグローバルに広がるのだそうです。そこにデザインが凝縮されている思いました。

D-culture Experience
デザインカルチャーの体験
ルータ・ヴァルサイティ氏 カウナス工科大学デザインセンター長

株式会社ソフトディバイス 株式会社ソフトディバイスhttps://www.softdevice.co.jp/

線から循環、環境型へのシフト、ネットワークソサエティ、AIの台頭。環境の変化に伴ってデザインスキルやデザインの役割には再定義が必要だとルータ・ヴァルサイティ氏。FPC’s:Future Personal Characteristics未来型人格特性には、「デザイン思考」「あえて間違える」「未来型志向」の3つをあわせ持つ必要があるといいます。デザイン思考は日本でも注目を集めて久しいですが、この「あえて間違える」というのは、すでにしている選択肢をつい選びがちなところを、大胆な方向を見いだすために、あえて間違えた方向を選んでみるという思考法。意味のある道を行くためには重要な視点のようです。そしてデザインをもっと一般的にしてソーシャルイノベーションを起こすには、デザインカルチャーを体験する人を増やすこと、そのモデルを開発・実証を行っていました。

デザイン=未来を切り開く力
ソーシャルイノベーション

石巻工房では、ワークショップによって生み出されたミニマルな家具(ベンチなど)をDIYしていくことで、そこからコミュニティが生まれ、大きな輪となって復興の道を進んでいきました。そしてデザインカルチャーの体験がソーシャルイノベーションにつながっていくと。この二つのお話を聞いて、以前、八重樫先生がおっしゃっていた、「デザインを身に着けると具体的なアウトプットを持て、そういう意味でデザインは未来を切り開く力」という言葉を思い出しました。

  • facebook
  • twitter
  • line