目指すは「デジタル発のおやつブランド」
―――最近はメーカー側もD2Cにチャレンジしている感じがしますが、御社はまさにD2Cですよね。
ジャンル的にはそうですが、D2Cを意識しているというよりかは、あくまでそういうWebサービスとしてやっている感じです。今後も多分「我々はこういうブランドです」とドーンと言うよりかは、まだベータ版という感じで、サービスとしても今後変わっていく可能性もあるかなと思っています。そこがブランドと相反するというか、ブランディングを長くやっている方と話をするとすごく気持ち悪がられます。我々はスピードもすごく早くて、すぐにローンチしてそのフィードバックを得て改善していく、というやり方なので、3か月~半年くらいひとつのことを検討することはあまりありません。1、2か月出してみて、3か月や半年先にはまたちょっと改善して違うものになっているということが多いです。一方、一般的にブランドは半年くらいかけてしっかり作っていく感じなので、そこで我々のスピード感を話すとすごく気持ち悪がられます。でも逆に、我々からしたら半年先のことを今からやるのがすごく気持ちが悪い。半年先がどうなっているのかはわからないし、その半年先のことを半年かけて詰めるというのは逆にリスキーかなと感じてしまいます。
―――やっぱり先行きってどんどんわかりづらくなってきていますか。
そうですね。特に最近でいうとこのコロナの状況って誰も読めなかったと思います。その時にいかに早く動けるか、というのがすごく大事かなと。今後はサービス的にユーザーの声などを受けながらフレキシブルに変えていく、というのが求められるんじゃないかなと感じています。
―――「半年先のことなんて考えないよ」というお話がありましたが、もし今後の展望みたいなものがあればお聞きしたいです。
長期的なところで言うと、「デジタル発のおやつブランド」というのを言っています。これは社内で勝手に言ってるだけなんですが、「カルビー、森永、スナックミー」って。我々が目指しているのはサブスクの会社ではなくて、おやつブランドなんだよと。わかりやすく言うと、既存のすごく大きくて歴史もあって商品も素晴らしい会社がありますが、そこに並ばないと「デジタル発で出てきたブランド」とは言えないと思っています。我々のやっていることを「サブスクボックス」と言ってしまうとすごくつまらなくなってしまうというのはあります。我々は「おやつ体験」というものを作ってそれを新しい文化にしていきたい。ただ、そうなっていくにはやっぱり規模感というのは大事、必要かなと考えていて、そこを長期的に目指しています。その展望は一応見えているんですけど、そこに落とし込む過程というのはこれから試行錯誤しながらやっていく、という感じです。
―――「食」が「文化」まで行くとすごいことになりますよね。そういう風におやつを買う、おやつを食べる、という文化が形成されたら「カルビー、森永、スナックミー」になりますね。
そうですね。昔はスマホで服を買わなかったのが今はzozoタウンで買っている。「おやつ、スマホで買うよね」という時代が来たら我々としてはうれしいです。
スナックミーはお客様からの評価を素早く分析して改善したり、アルゴリズムで好みや新しいおやつとの出会いを演出したりといった、デジタルを駆使したWebサービスの会社でありながら、その根っこのところにあるのは「日常の生活をちょっと元気に、豊かにしたい」という、ある意味アナログな熱い想いでした。現在働いているスタッフの中にも、元々スナックミーの熱烈なファンで自ら応募してきた人もいるそうです。スナックミーの1ファンとして、今後どんな新しいおやつ体験を提供してくれるのか、注目していきたいと思います。今回でスナックミーの“らしい”ストーリーは終わりとなります。最後までお読みいただきありがとうございました。