鎌倉から少しずつ変えていく。
―――完全循環型の話はプロジェクト開始時に話されるんですか。
鈴木代表:そうですね。オーナーさんからすると、そんなこと考えたこともなかったと。考えたことがないから逆にやってみたいという想いのオーナーさんもいましたが、人が違えば考えも変わるので、コスト重視だとできないですよね。コンポストを設置したりゴミを入れたり手間がかかりますが、その分ゴミは減るし、それが一つのスタイルになれば新しいし、豊かな時間になると思うんです。効率主義で言ったらできないですよね。そういう社会を逆につくっていきたいなと思うし、鎌倉は割とそれができる土壌ではあると思うんです。
結局そういう受け皿をつくってあげないと、コンビニでガムだけ買ってもビニール袋に入れて渡されますよね。それも社会全体でもうちょっと考えていかないと、「ビニール袋をゼロにしますよ」って言った時に何か代替案がないとなかなか難しい。例えば、鎌倉であれば自治体や企業が一緒になって風呂敷をつくってみんなに配った上で、「ビニール袋を辞めますよ」とやっていかないと変わらないですよね。その風呂敷も竹の繊維でつくっていったら、循環ボックスに入れちゃえばさっきの竹の容器や竹繊維の風呂敷も全部その中に入れれば分別する必要がなくなっちゃうんです。それをチッパーで細かくすれば、畑に戻すことができます。
―――循環ボックスの設置は、地元のカフェやスーパーと協力すると広がりそうです。
鈴木代表:そうですね。私たちがお手伝いさせていただいた店舗に協力してもらえれば、多分みなさんわかってくれると思います。先月鎌倉にオープンしたモンブラン専門店の『Mont Blanc Stand』。ここも私たちの意図をくんでいただいて、ゴミを極力出さないっていうシステムを使っています。
再生紙を使った紙コップで提供するんですけど、それを食べ歩かれてポンポン捨てられて町を汚したくない。そこで「紙コップをお店に返してくれたら、メレンゲのお菓子をプレゼントします」というサービスをやっているんです。そういう想いも、最初の打ち合わせでわかってくださる方だったので、そういう方のところに「循環ボックスを置かせてください」とか、「私たちが管理しますから」とかお願いするのも一つありますね。
私たちが手掛ける店舗は、基本的に土と木でつくっているんですね。あとは漆喰。『Mont Blanc Stand』の壁はモンブラン専門店なのでモンブランをイメージして鎌倉の土を使ってつくっています。なるべくその土地の素材を使って店舗をつくっていくというのを一つテーマとして掲げています。この土も、解体する時に剥がして燃やしたり細くしていけばまた土に戻せるものを選定していて、糊も接着剤というより界面糊と言う自然素材を使ったやり方なんですね。木に関しては、一般的には解体業者がバコバコはがしてトラックに乗っけて産廃に持って行って終わりなんですけど、椅子として再利用したり。なるべく地のものを使って、木と土で自然なものでつくっていけば自然にかえる準備はできてるかなという感じです。
鎌倉の素材でつくられた『Mont Blanc Stand』。