リノベーションとリフォーム。似たような二つの言葉。リノベーションという言葉の方が、大掛かりでオシャレでカッコイイというイメージがあるのではないでしょうか?カチタスではあえて、あくまでリフォームという言葉を使っています。デザイン性や趣味性を必要以上に高めていくことではなく、それよりも、安全・快適・清潔で、住宅としてとても基本的な部分をしっかりやっていこうというコンセプトで、だからあえてリフォームと言い続けているということです。そして目に見えない部分もしっかりする。目に見えない部分というのは、壁の裏や天井裏、床下といった物理的に目に見えない部分と、権利関係のクリアといった範囲まで含めて言います。特に地方の物件は親族間での土地分割などの経緯から、権利関係があいまいになってることが結構多いと言います。実は隣の家と自分の家の境界線が明確ではないとか、明確なんだけど越境しているとか、地下の下水管が隣地の中を通っているとか。役所で調べ権利関係を把握し、隣地との境界は明確に取り交わし、引き直すものは引き直し、そうして丁寧に一つ一つクリアにしていきます。
「安全・快適・清潔で、非常にベーシックな部分をしっかりやろう。目に見えない部分もしっかりやる。住んでいただいた後にご迷惑をおかけしないようにしっかりやります。というのがリフォームのコンセプトですね」
(大江室長)
見方によっては住宅としてあたりまえのことを、あたりまえと片付けないでしっかり徹底して行う。目に見えない部分だからこそ手を抜かない。この積み重ねがおそらくカチタスの信頼につながってるのだと思います。
住宅売買のスタイルに
2つのイノベーション
カチタスのバリューチェーンの強みは今まで取り上げてきた企画力や見立て力、信頼を重視した商品力に加えて、住宅売買のスタイルに2つの新しい常識を生み出したところにあります。一つ目は家を売るスタイルです。継続的なプロモーション活動による一般認知、特に「家を売る先として思い当たる会社は?」の質問で純粋想起1位を獲得するという高い知名度による「家を売るならカチタス」という認識を創出。「家を売るなら不動産仲介」という今までの常識を変え、「直接リフォーム再販会社へ売却」という新しいスタイルを生み出しました。そして二つ目は家を買うスタイルです。カチタスではリフォーム中の物件をネットで積極的に紹介しています。工事中の様子や床下など完成してからでは見えない部分も積極的に公開し、工事への姿勢やリフォーム前後の変化が伝わるようにしています。通常のリフォーム再販物件はリフォームが完成した後に広告販売を行うことが常識でした。しかしカチタスではリフォーム中に契約になる物件の比率が3割にものぼります。リフォーム後の問い合わせも、資料請求ではなく電話でいきなり現地視察を希望するケースが多く、つまり購入者はネットで疑似的に内覧し、最終確認のために現地に足を運んでいるということです。ネットを活用し、仕入れからリフォームして完成するまでの、通常これまでは見せてこなかった情報・ストーリーをつぶさに提供することが、新しい購入スタイルを生み出したと言えます。
全国約800社の
パートナー工務店との
絆づくり
リフォームは1軒1軒違い施工に非常に手間がかかります。それを全国規模で展開し、可能にしているのは全国約800社のパートナー工務店との絆づくりにあります。各現場から上がってくる失敗事例をできるだけ早く社内で共有し、それをパートナー工務店にもナレッジとして蓄積してもらう。品質向上を目指すうえで、成功事例の共有よりも失敗事例の共有の方がむしろ重要だと言います。主幹部署として「リフォーム企画部」を立て、パートナー工務店各社にレターを発送したり、月1のペースで全国を回って勉強会や懇親会を実施したり、さらには年に1度表彰制度など、絆づくりを行っています。
カチタスのバリューチェーンをひも解いていくと、「あたりまえ」を軽視しないでしっかり行っていく。愚直に追及することが、新たな価値創出につながっているとわかります。住宅の基本をしっかりする。見えない部分をしっかりする。直接売ってもらう。リフォームのプロセスを全部見てもらう。よくよく考えればどれも「あたりまえ」のこと。しかしいつの間にか売り手だけの論理や買い手だけの論理、流通だけの効率性といったようなことに、そのあたりまえが違った形になっていた。そのことに気づかされてしまいます。
「経済的に新築住宅も購入できる方でも、積極的に弊社のリフォーム済み住宅を選択されている方も増えている印象です。ローンのために生活を切り詰めるのは嫌。中古住宅でこれだけしっかりリフォームされているなら全然問題ない。旧来の新築信仰とは異なる生活第一主義的な価値観をお持ちの方が増えているのだと感じます」
世の中のモノからコトへ価値観のシフトが進んでいく中で、住宅としての機能を突き詰めた結果、その住宅(モノ)によって得られる生活(コト)に、感性価値が生まれています。そこにはとても日本らしい価値観が存在していると感じました。