booksおすすめ図書

例えば、CSVのこと。日本の将来のこと。クリエイティブに働くこと。
J-naradewa編集部が独自の視点で選んだ、
ビジネスパーソンに読んでほしい本をご紹介していきます。

すいません、
ほぼ日の経営。

  • 聞き手:川島蓉子
  • 語り手:糸井重里
  • 頁数:288ページ
  • 定価:1,620円
  • 発行元:日経BP社
  • 発行日:2018年10月22日
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すいません、ほぼ日の経営。

やさしく、つよく、おもしろく。
J-CSVが、こんなシンプルな3つの言葉に。

本書は、ほぼ日の、事業・人・組織・上場、そして社長について、糸井さんへのインタビューによってひもとかれている。その内容はどこをみても「ほぼ日らしさ」で満ち溢れていて、一般的な企業から見ると、一見常識破りなように見える。しかしそのひとつひとつを見ていくと、驚くほどまっとうで、経営の普遍的な本質をとらえているように思えてくる。 例えば、「ほぼ日の行動指針」というものがある。やさしく、つよく、おもしろく。そしてこの行動指針には「クリエイティビティの三つの輪」動機・実行・集合がリンクする。そしてこの順番も大切だという。やさしく=社会価値・強く=経済価値・おもしろく=原動力。これはまさにJ-CSVのことを言っているのではないか?J-CSVのヒントがぎっしり詰まった一冊。

エクスポネンシャル思考

  • 著者:齊藤和紀
  • 頁数:264ページ
  • 定価:1,728円
  • 発行元:大和書房
  • 発行日:2018年6月5日
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エクスポネンシャル思考

シンギュラリティ!?
デジタル・ディスラプション!?
世界ががらりと変わっていく中で、いかに戦うか。

進化のスピードをグラフに表すと垂直になる瞬間、テクノロジーがあらゆる概念を超えて驚異的なスピードで無限の深化を始めるポイント。それを「シンギュラリティ」と言う。その議論には賛否両論ある。しかし本書ではその議論よりも「今を懸命に生きることが大事」とはじまる。本書のタイトルでもある「エクスポネンシャル」とは、そんなシンギュラリティの到来を待つ現代に「倍々に指数関数的に成長していくこと」を表現した言葉である。今、私たちはエクスポネンシャルなテクノロジーを俯瞰して理解し、業界を自ら壊し、そこから本質的な価値観を発見し、新たに集約することが求められる。J-CSVでもカギとなる破壊的イノベーションは、こんなエクスポネンシャルな思考からどんどん生まれてくるはずだ。

MUJIが生まれる「思考」と「言葉」

  • 著者:株式会社良品計画
  • 頁数:264ページ
  • 定価:2,000円
  • 発行元:株式会社KADOKAWA
  • 発行日:2018年7月20日
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MUJIが生まれる「思考」と「言葉」

大戦略は「役に立つ」。
「良心とクリエイティブ」の徹底。
まさに「“MUJI”ならでは」が詰まった一冊。

“Mr.MUJI”と呼ばれる、金井政明代表取締役会長が「MUJIが生まれる言葉」をタイトルに2頁~10頁ほどの分量で、これまでのエピソードや現在の立ち位置、これからの想いを綴る構成となっている。エッセイを読んでいるような感覚で、無印良品の「思考」と「言葉」に触れながら、これからの時代の「仕事」と「くらし」について考えさせられる書籍となっている。消費社会のアンチテーゼとして生まれた「無印良品」が今もなお求められ、発展している理由がここにある。戦略の前提にある、大戦略「役に立つ」という姿勢。それを実行するための「良心とクリエイティブ」の徹底。まさにCSV時代に必要なマインドセットだと考える。また、無印良品が提供する共感・納得は「商品価値の転換」、「生活価値の転換」に続き、次は「社会価値の転換」と書かれている。例えば、「土着化」と称し、店舗を基点に社会、地域の「感じ良いくらし」のプラットフォームを目指す取り組みに“MUJI”のさらなる可能性を感じずにはいられない。J-CSVのトップランナーと言える“MUJI”のこれからにますます目が離せなくなる一冊だ。

日本の伝統工芸を元気にする!

  • 著者:中川政七商店十三代 中川政七
  • 頁数:254ページ
  • 定価:1,728円
  • 発行元:東洋経済新報社
  • 発行日:2017年2月24日
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日本の伝統工芸を元気にする!

J-CSVの論点「スケーラビリティ」。
奈良の小さな老舗が全国展開へ。

日本の伝統工芸を活かした雑貨を、現代にセンス良く取り入れる提案をしている中川政七商店。本書では奈良の小さな老舗が人気のブランドとして、全国に店舗を展開するまでに至る15 年の歩みをつぶさに描いている。J-CSVの論点の一つ「スケーラビリティ」をいかに成し遂げたのか?そして「日本の伝統工芸を元気にする!」のビジョンの誕生、そしてコンサルへの歩み、それによるSPAモデルの確立。さらにはプラットフォームとしての可能性。中川政七商店のチャレンジは、マネジメントとブランディングによって伝統工芸を現代に蘇らせた。本書は、よくあるブランディング成功事例紹介とは違う。ここにはより具体的で、よりリアルでシビアな、本当の意味でのJ-CSVのベストプラクティスが書かれている。

CSV時代のイノベーション戦略
「社会課題」から骨太な新事業を産み出す

  • 著者:藤井剛
  • 頁数:240ページ
  • 定価:1,944円
  • 発行元:株式会社ファーストプレス
  • 発行日:2014年7月7日
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CSV時代のイノベーション戦略 「社会課題」から骨太な新事業を産み出す

社会課題解決とルールづくりが企業戦略に不可欠。
CSV推進の道筋をわかりやすく提言。

本著ではCSVをイノベーション創出のための企業戦略の視点で捉えられており、その実行のためのフレームワークやヒントが記載されている。グローバルの動向と日本の現状を踏まえた上で、特に日本企業に向けたCSV×イノベーションのネクストステップが指し示しされており、日本のCSV浸透・発展を応援する書籍と言える。例えば、2つの社会課題の掛け合わせによる新たな社会課題の発掘による新市場の開拓やこれからの企業の戦い方として、社会課題解決(大義)とルール(新秩序)づくりが不可欠である、といった発想のヒントや新たな勝ちパターンへの提言等が記載されており、CSV推進の参考となる書籍である。また「強い社会性のある日本企業こそがCSVを進化させる可能性がある」という記述は、日本企業、J-CSV研究を進める我々にとっても大変心強い言葉である。

ぼくらの仮説が世界をつくる

  • 著者:佐渡島庸平
  • 頁数:224ページ
  • 定価:1,404円
  • 発行元:ダイヤモンド社
  • 発行日:2015年12月10日
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ぼくらの仮説が世界をつくる 「社会課題」から骨太な新事業を産み出す

「世界がどうなるか」を心配する時間があるなら
「世界をどうするか」を考えたいのです。
(佐渡島庸平)

「宇宙兄弟」「ドラゴン桜」を大ヒットに導いた編集者でもある著者が、未来の見えづらい現代社会で、どのように考え行動していくのか、想いをまとめた本。著者は革命を起こすための思考アプローチとして、大胆な仮説を立て、その仮説に向かって楽しみながら検証を繰り返し実現に向けて進んでいくことを説いている。J-CSVの大切な要素が本書の随所に書かれている。大胆な仮説=志。表面に惑わされず骨格を見る=J-CSV企業のビジネスモデルは必ずと言っていいほどここに目を向けている。ドミノの1枚目を倒す=イノベーションを起こす企業は当たり前の基本を愚直に行っている。ぼくらのルールはぼくらがつくる=だからイノベーションが起きる。未来を切り開く、人や企業のための本。

未来を変える目標 
SDGsアイデアブック

  • 編集:一般社団法人Think the Earth
  • 監修:蟹江憲史 / マンガ:ロビン西
  • 頁数:176ページ / 定価:1,944円
  • 発行元:一般社団法人Think the Earth
  • 発売元:株式会社紀伊国屋書店
  • 発行日:2018年5月8日
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未来を変える目標 SDGsアイデアブック 「社会課題」から骨太な新事業を産み出す

17個の目標と実現に向けたアイデアを
セットで紹介。SDGsの入門書。

SDGsとはSustainable Development Goals:持続可能な開発目標の略称。2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた目標のこと。今、世界の国の政府、企業、様々な団体がこの目標の達成を目指して動き始めています。本著では、まずSDGsの17の目標とその背景となる世界の現状を紹介。さらにその目標に関連する具体的な「未来を変えたアイデア」をまとめた事例書となっている。SDGs関連の書籍はカタい印象の本が多い中で、写真やイラスト事例が豊富な本書は、わかりやすくSDGsを理解するのにおすすめの書籍と言える。世界各国の取り組み事例も多いが、日本の事例も取り上げられており、J-CSVの背景となる社会課題を考える際の参考となる。

コンサルを超える
問題解決と価値創造の全技法
定番フレームワークの最新活用法から社会課題解決まで

  • 著者:名和高司
  • 頁数:512ページ
  • 定価:2,592円
  • 発行元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発行日:2018年7月12日
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コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法 定番フレームワークの最新活用法から社会課題解決まで

社会課題先進国日本から
社会課題“解決”先進国日本へ。

マッキンゼー20年弱、ボスコンのシニアアドバイザーを6年間務めた名和先生が、その2大コンサルティングファームの技法と思考法を一挙紹介。 “超一流コンサル” 大前研一氏の未来を創り出すスゴ技にも触れ、数々の技をどのように活用していくのか、さらにはコンサルを超え、予測不能な未来をどう突破するか、視点や考え方を次々と提示する。そのスキルは社会課題解決と持続可能な社会の実現に向けて使い、いまだからこそ“志”が求められると断言する―。次々と読み進み、最後は不思議とエンターテインメントのようにスカッと前向きになれる。「課題先進国日本」の悩みを一蹴する価値創造の技法が基本から応用、その先まで全て収められ、「課題解決先進国日本」として希望が湧く一冊。

CSV経営戦略
本業での高収益と、社会の課題を同時に解決する

  • 著者:名和高司
  • 頁数:384ページ
  • 定価:2,592円
  • 発行元:東洋経済新報社
  • 発行日:2015年10月16日
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CSV経営戦略本業での高収益と、社会の課題を同時に解決する

CSV経営戦略の神髄が書かれた決定版
J-naradewaのバイブル

CSVとはCreating Shared Value:共通価値の創造、マイケル・ポーター教授が提唱する経営戦略。J-naradewaの監修者でもある一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻の名和高司先生が、本書でCSVの基礎的なコンセプトの解説から、国内外の企業事例を多数取り上げて、その本質に迫っていく。さらには日本発のCSV、J-CSVの可能性を示し、これからのCSV人材へのメッセージも添えられた、CSV経営戦略の神髄が書かれている決定版。本書に事例として取り上げられている名だたる企業だけでなく、日本にはまだまだ素晴らしい企業がたくさんあるはずだと気づかされ、僭越ながらこのサイトの立ち上げのきっかけともなった、J-naradewaのバイブルとも言える書。日本の未来に勇気と期待を与えてくれる。

持続可能な資本主義
「いい会社」に投資し日本一をとった鎌倉投信がみつけた信頼と共感で成り立つ経済の仕組み

  • 著者:新井和宏
  • 頁数:216ページ
  • 定価:1,620円
  • 発行元:ディスカバー・トゥエンティワン
  • 発行日:2017年3月25日
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持続可能な資本主義、「いい会社」に投資し日本一をとった鎌倉投信がみつけた信頼と共感で成り立つ経済の仕組み

誰かの犠牲で成り立つ
経済を終わらせよう。

経済性と社会性を両立する日本のいい会社(CSV企業)を訪ね投資し、国内投資信託日本一に輝いた、鎌倉投信ファンドマネージャー新井和宏氏が出した結論。本書ではまず、投資のリターンの定義の違いについて、「リターン=お金」ではなく「リターン=資産形成・社会形成・心の形成=幸せ」であると説く。続いて「三方よし」を、①社員②取引先債権者③株主④顧客⑤地域⑥社会⑦国⑧経営者の「八方よし」にしようと提案し、それぞれの観点からいい会社を解説。人と社会を犠牲にする「効率至上主義経済」の代案として「新日本的経営」による新しい経済の可能性を示す。まさにJ-CSV。J-naradewaで取材したい企業がたくさん紹介されていた。是非いつか新井さんにお話を伺いたい。

インターネット的

  • 著者:糸井重里
  • 頁数:272ページ
  • 定価:734円
  • 発行元:PHP研究所
  • 発行日:2014年11月6日
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インターネット的

2001年に今の社会が書かれた予言の書
インターネット的がJ-CSVの鍵に!?

2001年に新書として出版。その内容にほとんど手を加えず、最後に「続・インターネット的」と題し著者の現在の想いが添えられ文庫化。本書は今では「予言の書」とも呼ばれ、15年以上前に書かれたとは思えないほど、現在と未来の社会のことまで書かれている。インターネットがもたらす、新しい生き方・考え方=インターネット的と定義し、それがもたらすリンク・フラット・シェアの3つの鍵が形成する社会を考察。さらにそんなインターネット的社会が、企業のありかたを大きく変えていくと迫る。本書にCSVという言葉は出てこないが、CSVの鍵である「パーパス」の考え方や、生産者と消費者の共創について「消費のクリエイティブ」という言葉で表現されている。J-CSVのヒントがたくさん隠されている。

突破するデザイン
あふれるビジョンから最高のヒットをつくる

  • 著者:ロベルト・ベルガンティ
  • 日本語訳:八重樫文・安西洋之
  • 頁数:352ページ
  • 定価:2,160円
  • 発行元:日経BP社
  • 発行日:2017年6月29日
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突破するデザインあふれるビジョンから最高のヒットをつくる

CSVとは二律背反を超え共通価値をつくる
意味のイノベーションでもある

イタリアミラノ工科大学ロベルト・ベルガンティ教授が、イノベーションを起こした多数の商品・サービスについて考察。「意味のイノベーション」として解説する。本書ではしばしば「デザイン思考」との違いを用い、デザイン思考によって常識となりつつあるアイデアを生み出すルールを疑い、新たなメソッドとして、そのプロセスとツールを紹介している。特徴的なのは「インサイドアウト」の発想から始まっていることだ。CSVは共通価値を見出すために、二律背反を超えるイノベーションと非常に密接な関係にある。しかも先行き不透明な現代社会において、「自らどんな社会を実現したいのか」の内なる声から発送するこのメソッドは、まさにJ-CSV実現を加速させるメソッドになるのではと期待が高まる。